ニュージーランド出身、オーストラリアで音楽活動を始め、後にアメリカ進出。グラミー賞の他、数々のアワードを獲得しアメリカンドリームを掴んだシンガーソングライターKeith Urban(キース・アーバン) 。
2006年には、女優ニコール・キッドマンと結婚するなど、絵に描いたようなスター街道を歩んでいますが、こと日本での知名度がいまいち低いのは、彼の音楽がカントリーミュージックにカテゴライズされるからでしょうか。
日本の総人口1億2000万人のうち、洋楽リスナーは山ほどいたとしても、カントリーのリスナーは??私の勝手な憶測ですが5%も居ないのではないでしょうか。カントリーミュージックの世間一般のイメージは、「ウエスタンブーツにテンガロンハット姿のおっちゃんが、アコースティックギター抱えて奏でる古臭い音楽。」そんなところでしょうか。
そんなイメージからカントリーを敬遠している方にこそ聞いて頂きたいのが、本日ご紹介する「Get Closer」です。
アメリカンロックとカントリーのハイブリッド+ゴージャスな雰囲気
2010年に8枚目のソロアルバムとしてリリースされた本作。共同プロデューサーは、2002年よりキースとタッグを組むダン・ハフ。※ダン・ハフは、ロックバンド:Giantのボーカル兼ギタリストで、元ファーストコールのセッションギタリスト。またプロデューサーとしてキース・アーバン他、メガデス、ラスカルフラッツ等を手掛けています。
キース&ダンの強力タッグが得意としているのは、アメリカンロックとカントリーミュージックのハイブリッド。この掛け合わせ自体は、そんなに珍しいものでは無く、よくある手法ですが、この二人の作るサウンドには、往年のロックスターのような華やかさがあるのが特徴。
全盛期のボン・ジョヴィを彷彿とさせるような、スター然としたゴージャスな雰囲気がサウンドから滲み出ております。
とはいえ、サウンドそのものはいたってシンプル。ドラム・ギター・ベースを中心に、装飾的にバンジョー・マンドリンといったカントリー由来の楽器が登場する程度で、耳を引く派手な音色等は皆無。それでも、ぐいぐい演奏に引き込まれるのは、バンドのレベルが高いからでしょう。どっしりとしたグルーブを全編で聞くことができます。
キースのボーカルと言えば、甘くニヒルな歌声が特徴的ですが、ベタ過ぎず爽やかなフィーリングが好印象。カントリー的な唱法も聞くことができますが、ステレオタイプのカントリーシンガーのそれと比べると、あっさりとしている印象を受けますね。
おすすめ楽曲
1曲目「Put You in a Song」はアメリカンロックの突き抜けるような開放感と、カントリーの土っぽい質感が見事に融合した楽曲で、ビルボードのホットカントリーソングス チャートで2位を獲得。2曲目「You Gonna Fly」はカントリー調のミディアムテンポチューン。アメリカの広大な大地を思わせるダイナミックなナンバーです。ビルボードホットカントリーソングスチャート1位。
4曲目「Long Hot Summer」はリチャードマークスとの共作。ポリスの「Every Breath You Take」風のギターアルペジオが格好いい。万人受けするメロディーを持つ爽快感溢れるロックチューン。ビルボードホットカントリーソングスチャート1位。草原に吹く風のように滔々としたバラードナンバー5曲目「Without You」も良い。こちらもビルボードホットカントリーソングスチャート1位。
全8曲(33分)とコンパクトな作品ですが、本作から4曲がシングルカットされ3曲が1位、1曲が2位を獲得しているように質の高い楽曲が並んでいます。アルバムとしても、ビルボード200チャートで7位、ビルボードトップカントリーアルバムチャートで2位にランクイン。爽やかなイケメンサウンドが炸裂する快作です。オススメ!
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