【解説】オーギュメントコードの特徴と使用方法

音楽理論
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本日は「オーギュメントコード」について解説していきます。前半は、オーギュメントコードの構成音や特性について、後半では使用方法をサンプル音源付きで紹介していきます。

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オーギュメントコードとは

オーギュメントコードは、コードの種類のひとつで、特殊な響きをもっているのが特徴です。コード表記では「〇aug」または「〇+」もしくは「〇(+5)」と表記されます(〇の部分にはルート音名を記入します)。

オーギュメントコードの響きと構成音

 

Cオーギュメントコードを例にとって説明していきます。音源ファイルをきいてください。なんとも落ち着かない不安定な響きですね。

Cオーギュメントコードは、C・E・G♯の3つの音で構成されています。ちょうどCメジャーコードの完全5度(G音)を半音上げたものとなります。

オーギュメントコードの特徴

Cオーギュメントコードは、ルート音より長3度(半音4つ)で音が積み上げられています。「G♯音」と「C音」の音程も長3度となっているので、オーギュメントコードは、1オクターブ=12音をちょうど3つに等分した形となります。

なので、Cオーギュメントコードを、Cから弾いても、Eから弾いても、G♯から弾いても間隔が同じなので構成音も同じとなります。ピアノで、右手はEオーギュメントコードを押さえても、左手のベース音がC音なら、Cオーギュメントコードとなります。ベース音がG♯なら、G♯オーギュメントコードとなります。

また、オーギュメントコードは1オクターブを3等分したものなので、オーギュメントコードの構成音は以下の4種類しかないことになります。

つまり4つのグループを覚えれば、ルート音を変えるだけで「全てのキーのオーギュメントコード」を弾くことができます。

では、次にオーギュメントコードの使用方法のうち代表的なものを紹介していきます。

オーギュメントコードの使い方

オーギュメントコードの代表的な使い方は、クリシェとして使用する方法と、ドミナントセブンスコードの代理として使用する方法です。

①クリシェとして使用する方法

オーギュメントコードの代表的な使い方の1つに「クリシェ」としての使用する方法があります。これは、コードの中の一つの音を順次上げたり下げたりして、コード進行に継続した音の変化をつける手法です。

例1では、コードのトップノートが「ソ→ソ♯→ラ→ラ♯」と半音程で上行しており、ぐいぐい前進していくような力強さを感じます。

例2では、ベース音が「ラ→ソ♯→ソ→ファ♯」と半音程で下行しています。物悲しくダークな雰囲気が特徴的です。

②ドミナントセブンスコードの代理コードとして使用する方法

オーギュメントコードのもう一つの代表的な使い方は、ドミナントセブンスコードの代理コードとして使用する方法です。

G7の構成音は「ソ・シ・レ・ファ」、Gaugの構成音は「ソ・シ・レ♯」です。この二つのコードは「シとレ」が共通しています。また、G7の「ファ」はCメジャーコードの「ミ」へ半音上から解決するのに対し、Gaugは「レ♯→ミ」と半音下から解決しています。

音源ファイルをきいていただくと、G7、Gaugどちらからも、ハッキリとした終止を感じれらると思います。

また、Gaugは、G7(♭13)と構成音や響きが似ている為、例えば「Dm7→G7→Gaug→C」のように、ドミナントセブンスコードに連結して使用することもできます。

Gaugの構成音:ソ・シ・レ♯
G7(♭13)の構成音:ソ・シ・レ・ファ・レ♯

②´分数オーギュメントコード

さて、ここで最近話題の「分数オーギュメントコード」について触れておきます。分数オーギュメントは、別名「ブラックアダーコード」「イキスギコード」と呼ばれているコードです。

この「分数オーギュメントコード」については、いろいろな解釈がされていますが、私は、オーギュメントコードの「ドミナントセブンスコードの代理コード」としての使用方法の応用編だと考えています。

上の音源ファイルをきいてみてください。Gaug/D♭が分数オーギュメントコードです。単体で弾くと強烈な不協和音ですが、コードの流れの中では違和感なく聞こえると思います。

CコードのドミナントコードはGです。構成音は「ソ・シ・レ」です。レの音を半音上げて「レ♯」にするとGaugとなります。

ここに、Gコードのレの音を半音下げた「レ♭」を付け加えると、「ソ・シ・レ♭・レ♯」となります。そして、「レ♭」をベース音にもってくると、「Gaug/D♭」となり分数オーギュメントコードの出来上がりです。

このコードは、ベース音が半音程でCコードへ解決するので、滑らかに進行するのが特徴です。

オーギュメントコードのまとめ

オーギュメントコードは、それ単体では不安定で、緊張感のある響きです。しかし、コードの流れの中でうまく使えば、サウンドをより多彩にスムーズにすることが出来ます。皆さんも、ぜひオーギュメントコードを活用してみてください。

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