マイナースケールの仕組みを知ろう!【解説】

音楽理論
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今回は「マイナースケール」について解説していきます。現在、私たちが普段耳にしている音楽で最も一般的に用いられているのは、メジャースケール(長調・長音階)と、今回のテーマであるマイナースケール(短調・短音階)

メジャースケールはこちらで紹介しています↓↓

メジャースケールの仕組みを知ろう!【解説】
今回は「メジャースケール」について解説していきます。メジャースケール(長調・長音階)は、楽器の演奏や音楽理論を学ぶ上で、必ず知っておかなければならない、いわば基本中の基本。このスケール抜きに、音楽の勉強は始まりません。 今は「メジャースケー...

「長調は明るい響き、短調は暗い響き」小学校の音楽の時間で習ったときは、ふーん。という感じで終わったと思いますが、いざ音楽理論の勉強をはじめるてみると、この短調が厄介。

多くの音楽理論書では、長調がCメジャースケールを使って解説されるのに対し、短調はAマイナースケールで解説されていて、長調と短調の違いが分かりづらい。しかも、短調には3つのスケールがある・・。

短調を駆使して、深みのある哀愁漂うような曲を作りたいと思っても、なんとなく敬遠してしまうという方も多いのでは?かく言う私もその一人(笑)一緒に頑張って、マイナースケール(短調・短音階)を攻略しましょう!

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■スケールとは何か?

まず、マイナースケールを知る前に、スケールとは何かを見ていきます。簡単にいえば、スケールとは、特定の音からはじめる音の並びかたのこと。日本語では「音階」と呼びます。

現代のポピュラー音楽では1オクターブは12音で構成されていて、その12個の音から何を選ぶかによって、スケールの名前が変わります。(12音以外の音が使われているものもあります)

なので世の中には広く知れ渡っているものから、そうでないものまで「〇〇スケール」といった音階が数多く存在しています。

琉球音階、ジプシースケール、ペンタトニックスケール、ドリアンスケールなどなど
そして、それぞれのスケールには、各々の個性と雰囲気があります。その典型が、明るい響きのメジャースケールと、暗い響きのマイナースケールで、いわば二極の関係にあるからこそ、ポピュラー音楽で広く使われているのでしょうね。

■マイナースケールを聞いてみよう♪

では早速、マイナースケールを聞いてみましょう。旋律から、哀愁漂う暗い雰囲気を感じられたと思います。メジャースケールと聞き比べると、その雰囲気が一層際立ちます。この違いはどこから来るのでしょうか。

上に、CマイナースケールとCメジャースケールの音階を載せています。両者を比べると、マイナースケールでは「ミ・ラ・シ」が半音下がって(♭して)いますね。この♭したミ・ラ・シこそがマイナースケールの暗さのポイントです。では、このCマイナースケールがどんな音の並びになっているか詳しく見ていきます。

■マイナースケールの法則

Cマイナースケールの構成音を、全音と半音の関係で見てみると、上の図のようになります。Cから始まり全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音となっています。

全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音の並びがマイナースケールの構造

では、このマイナースケールの法則を使ってA音からはじまるAマイナースケールを作ってみましょう。

■Aマイナースケール=〇メジャースケール?

A=ラの音から、マイナースケールの法則にのっとって、音を並べてみるとこうなります。

「ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・(ラ)」。あれっ、黒い鍵盤が登場しません。開始位置こそ違えど、Cメジャースケールの構成音と同じではないですか。だから、音楽理論書で長調はCメジャースケールで、短調ではAマイナースケールで解説されているのですね。

「長調で出てくるコードを、短調でも使える」のは便利な半面、両者の違いを把握しづらく、これがマイナーキーの理解を難しくさせている一因かもしれませんね。

Aマイナースケールは、Cマイナースケールを6度の音から始めたのと同じ構成音

■マイナースケールには弱点がある⁉

さて、暗くて哀愁漂う魅惑のマイナースケールですが、このスケールにはちょっとした弱点があります。

上のCマイナースケールの7番目の音と、8番目の音(オクターブ上の主音)の音程に注目してください。「シ♭→ド」と全音の関係になっていますね。

次に、Cマイナースケールのダイアトニックコードを見てみます。注目するのはGmのところ。ディグリーネームが「Vm」となっていますね。Gと♭Bが短3度の音程になっているからです。

つまり、VmにはCに対する導音(主音の半音下=B)が無いので、主音に解決する力が弱いのです。その和音上の欠点を補うために、つくられたスケールが「ハーモニックマイナースケール」です。

■ハーモニックマイナースケール

マイナースケールの和音上の欠点を補うために作られたスケール。マイナースケールと比べると、B音が「B♭からB」に変わっているのが分かります。

これにより、GmがGに変化し、ドミナントコードが作られます。要するに、ハーモニックマイナースケールはドミナントコードを作るための音階と言えるでしょう。

でも、ハーモニックマイナースケールを聞くと、後半に違和感を感じませんか?「ラ♭からシ」へと突然音が高くなっていて、突飛な感じ。旋律として美しく聞こえません。これは、「ラ♭とシ」の音程が開きすぎているからです。

なので、ラ♭を「ただのラ」に修正したスケールが作られました。それが「メロデックマイナースケール」です。

■メロデックマイナースケール

ハーモニックマイナースケールの「A♭をA」に変え、旋律の不具合を解消したスケール。ハーモニックマイナースケールで感じた旋律の違和感が薄くなっていると思います。

ただ、なんかこれ、Cジャースケールと雰囲気が似ているような。そうなんです。CメロデックマイナーとCメジャースケールは、「E音が♭するかしないか」の違いだけなのです。

■3種のマイナースケールの使い分け

以上、マイナースケールには3種類あり、それらは、各々の欠点を補うために存在していることが理解いただけたと思います。

マイナースケールが3つあるのは、それぞれの欠点を補うために作られたから
※ちなみに、ハーモニックマイナースケール、メロデックマイナースケールと区別するために、おおもとのマイナースケールには「ナチュラルマイナースケール」という名前が付けられています。
ハーモニックマイナースケール、メロデックマイナースケールは、あくまでナチュラルマイナースケールの補助的位置づけで、曲全体で使うケースは殆どありません。ハーモニック・メロデックマイナースケールのダイアトニックコードを部分的に使ったり、メロディーの一部に取り入れられる程度の使われ方だと考えてもらってOKです。
 

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