スムースジャズの名盤10選!聞くべき作品はこれ。

Smooth Jazz / Fusion
スポンサーリンク

ジャズ・フュージョンから派生した新らしいジャンルの音楽「スムースジャズ」。スムースジャズが音楽のいちジャンルとして確立されたのは1990年代なので、まだまだ新興ジャンルといえます。とはいえ、誕生から30年が経過しており、流通している作品数は膨大。

今からスムースジャズを聞きはじめようとしても「何から聞けば良いかわからない!」という方が多いのではないでしょうか。

今回は「スムースジャズの名盤10選」として、これまで500枚以上の作品を聞いた管理人が、独断と偏見でスムースジャズの名作を一挙紹介します。

スムースジャズの魅力とは?

スムースジャズは、アメリカのラジオフォーマットから発展した音楽です。ラジオで取り上げられるのを前提として作られているので、従来のジャズ・フュージョンと比べると尺は短く、また日常生活に溶け込むようにマイルドなサウンドになっているのが特徴です。

早朝から深夜まで時間と場所を選ばない汎用性と、流すだけでその場が華やかな雰囲気になる手軽さから、飲食店やショッピングモールでも利用されています。

スポンサーリンク

Brian Culbertson / It’s On Tonight


It’s on Tonight

スムースジャズピアニストのブライアン・カルバートソンが2005年にリリースした作品。カルバートソンの作品はどれも質が高いですが、スムースジャズらしさに溢れているのは1990年代後半から2000年代中盤に発売された作品群。

中でも本作「It’s On Tonight」は白眉の出来で、ビルボードの現代ジャズチャートで1位、総合チャートでも161位に食い込んだ傑作です。歌のないインストゥルメンタルの作品が総合チャートでランクインするのは稀なことからも、本作の質の高さを伺い知ることができます。

サウンドは、圧倒的に「夜のムード」。グルーブしたリズムの上で、ふくよかな音色のピアノが、次々と美しい旋律を奏でます。しかし、ただ美しいだけではなく、高揚感を感じる響きとなっているのがスムースジャズらしいポイント。リスニング推奨時間帯は、真夜中のカクテルタイム。ロマンチックでパーフェクトな時間を演出してくれるでしょう。

Nils / Pacific Coast Highway


Pacific Coast Highway [Clean]

ドイツ出身のスムースジャズギタリスト、ニルスが2005年にリリースした作品。タイトルトラック「Pacific Coast Highway」は、ビルボードスムースジャズエアプレイチャートで11週間連続No.1に輝いた大ヒットナンバー。またこの曲は、2000年代のスムースジャズステーションで最もオンエアされた楽曲としてビルボードから認定されています。

オクターブ奏法を使ったスピーディなテーマ。ペンタトニックスケールを中心としたクールなフレーズ。哀愁漂うこのナンバーを聞けば、気分は黄昏時のウエストコースト。

その他の楽曲も爽やかで、ほんのりブルージーなテイストの良曲揃い。このアルバムを聞くと、海岸線のドライブに出かけたくなります。

Steve Cole / Between Us


Between Us

サックス奏者スティーブ・コールが2000年にリリースした作品。同郷のブライアン・カルバートソンのバックアップにより、エレガントなスムースジャズを聞かせています。ほんのりファンキーなリズムと、扇情的なサックスの音色。実にセクシーで艶っぽい雰囲気が漂っています。

特にドラマチックな旋律を情感たっぷりに歌い上げるところは、高揚感を感じずにはいられません。夜を思わせる楽曲が多いので、ナイトドライブに良いのではないでしょうか。夜景を見ながら聞きたいスムースジャズNO.1。

1曲目「Got It Goin’ on」、2曲目「From The Start」はスムースジャズステーションで人気のナンバー。アルバムもビルボードコンテンポラリージャズチャートで8位にランクインした人気作です。

Gregg Karukas /Nightshift 


Nightshift

スムースジャズピアニスト、グレッグ・カルーカスが2000年にリリースした作品。小洒落た雰囲気の音楽が好きな方に絶対おすすめの一枚です。細かな譜割りの旋律が多く、スムースジャズの作品の中ではジャジーな分類に入るでしょう。

本作でグレッグは、エレピとアコーステックピアノを弾き分けていて、ソフト&メローな楽曲と適度にファンキーな楽曲が織り交ぜられながらアルバムは進行していきます。

楽曲はどれも、聞き手を夢見心地にさせるロマンチックなもの。しかし、甘いだけではなく、冷ややかな澄んだ空気感があり、凛とした印象を受けます。作品の雰囲気を例えるなら「夜間飛行」といった感じでしょうか。

おすすめ楽曲は、アルバムタイトル曲「Nightshift 」。オクターブ奏法をつかったエレキギターのシンプルなテーマと、ちょっと「なまった」感じで弾かれるピアノライン。スムースジャズらしいお洒落な1曲です。

Norman Brown / After The Storm


After the Storm

ジャズギタリスト、ジョージ・ベンソン系列のウエストコーストジャズギターをバリバリ弾きこなす技巧派ノーマン・ブラウンの1994年リリース作品。作風は西海岸を彷彿させるリズミカルなスムースジャズ。90年代前半の作品なので、サウンドは軽くあっさりとした印象を受けるけれど、ギターの演奏は聞きごたえがあります。

オクターブ奏法で奏でるテーマ、ソロで多用されるお洒落ペンタとクロマチックのコンビネーション。力強く、切れ味鋭いプレイが満載です。

2000年頃からは音数が少なくなり、よりスムースジャズらしい作品を発表していますが、リリース当時は新進気鋭の若手ミュージシャンでした。その為、本作では若手ならではのフレッシュで猛烈な演奏を披露しており、それが本作の魅力となっています。ギタリストの方にもおすすめの一枚。

Michael lington / Heat


Heat

サックス奏者マイケル・リントンが2008年にリリースした作品。R&Bスタイルのスムースジャズに飽きて来たら、こちらの作品がおすすめです。

マイケル・リントンの特徴は、サウンドアプローチが他の同ジャンル系アーティストと異なるところ。スムースジャズの作品の多くは、ブラックミュージックの要素を何かしら取り入れているのに対し、リントンのサウンドは白人的。ウエストコーストロックやカントリーロックを下敷きにした作品を多く発表しています。

本作はそんなリントンミュージックの完成度が頂点に達した作品。アメリカの広大な大地が浮かんでくるような爽やかで悠然とした楽曲が並んでいます。

セールス面でも健闘し、ビルボード誌コンテンポラリージャズチャートで第5位。リードシングル「You & I」はR&Rスムースジャズラジオチャートで第2位。また、Jazztraxの2008年最優秀スムースジャズアルバムに輝くなど人気の高い作品です。

Benoit/Freeman Project


Benoit/Freeman Project

デイヴィッド・ベノアとラス・フリーマンが1994年にリリースしたコラボ作。デイヴィッド・ベノアは1970年代後半から活躍するフュージョン系ピアニスト。ラス・フリーマンはスムースジャズバンド「The Rippingtons」のギタリスト兼リーダー。

当時、この二人は同じレーベル(GRP)に所属していて、80年代後半から互いのレコーディングに顔を出し合う間柄。そこで、相性抜群のハーモニーを聞かせるのですから、両者のファンの間ではかねてからコラボ作品の制作を希望する声があがっていました。

そんなファンの望みがかなったのが本作「ベノア・フリーマンプロジェクト」で、発売されるや否や、ビルボード誌のジャズチャートで第2位を獲得。心躍るようなリズミカルで瑞々しいサウンドと美しい旋律を携えた、極上のインストゥルメンタルミュージックに仕上がっています。

この作品はピアニストとギタリストの共作なので、各楽曲にはそれぞれのソロパートがあります。その分、一般的なスムースジャズと比ると1曲の尺は長め。また、グルーヴよりドライブした楽曲が多く、スムースジャズでもフュージョンに近い作風です。

Kilauea / Diamond Collection


Diamond Collection

キーボード奏者ダニエル・ホー率いるスムースジャズバンド「キラウエア」のベストアルバム。楽器アンサンブルを重視した作品を聞きたいと思ったら、本作がおすすめです。

キラウエアはロサンジェルスで結成されたバンドで、1991年から1997年まで活動していました。活動期間こそ短いものの、5枚のオリジナル作品を発表し、そのうち2作がビルボードのジャズチャートでトップテン入りしています。

バンド体制なので、メロディーを担当する楽器はさまざま。曲によっては、Aメロ:ピアノ、Bメロ:ギター、サビ:サックスなどと奏者のバトンタッチが行われたりも。ソロイストが多いスムースジャズではなかなか耳にしないスタイルですね。各メンバーの演奏技術も高くカチッと決まったタイトなプレイを披露しています。

そんな息の合ったアンサンブルで聞かせるサウンドは、LAフュージョンとスムースジャズの中間に位置するような爽やかでスィートなもの。カリフォルニアの海や空が浮かんでくるリゾート感溢れる音楽です。

Peter White / Caravan of Dreams


Caravan of Dreams

ギタリストであるピーター・ホワイトが1996年にリリースした作品。ピーター・ホワイトは、シンガーソングライター、アル・スチュアートのバンドに20年間在籍していたギタリスト。弟のダニー・ホワイトも同じくミュージシャンで、バーシャやマットビアンコでの仕事で有名。本作にも、ゲストボーカルとしてバーシャが参加しています。

ピーター・ホワイトのトレードマークは、ナイロン弦のギター。本作でも全曲、ナイロン弦のギターで旋律を奏でています。楽曲はどれもハッキリとしたメロディーがあり、ギター以外にもアコーディオンやサックス、フリューゲルホーン等の楽器が登場し多彩なサウンドを提示しています。

スムースジャズ界の名プロデューサー、ポール・ブラウンの手腕による堅固なサウンドプロダクションの上を、グルーブたっぷりに駆け巡るギターサウンドは素晴らしいの一言。よく歌っています。

夏向きの爽やかなアルバムではありますが、ギラついた夏の日差しよりも、涼しい木陰を思わせるような、優しく、くつろぎを感じる音楽です。

Euge Groove / Euge Groove


Euge Groove

スムースジャズサックス奏者ユージ・グルーヴが2000年にリリースしたアルバム。ユージ・グルーヴは、エクスポゼ、リチャード・マークス、エルトン・ジョンなどのポップス系アーティストのレコーディングに多数参加した元セッションマン。

ユージ・グルーブの特徴は、その個性的なサックスの音色。硬質でザラついた質感があり、そして官能的。くぐもった吐息のようにセクシーな響きです。

楽曲は、そんなサックスの音色に嵌まるミステリアスでチルアウトしたものばかり。休符を生かしたメロディーラインが多く、ぽつりぽつりと時に熱っぽく語りかけるような感じは、ピロートークのような情感がありますね。

1曲目「Romeo & Juliet」はスムースジャズステーションでも良く耳にする人気曲。アルバム自体もデビュー作に拘わらずビルボード誌コンテンポラリージャズチャートで25位を獲得しました。

まとめ

スムースジャズの名盤紹介いかがでしたでしょうか。お気に入りの一枚が見つかったら幸いです。この記事は、随時加筆修正予定です。ある程度作品を増やしてからタイトルを変更するので、紹介枚数と表題タイトル記載の作品数に差異が生じる場合があります。

コメント