鬼神に迫る圧巻の演奏 Norman Brown「Just Between Us」

Smooth Jazz / Fusion
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本日紹介する作品は、スムースジャズギタリストNorman Brown(ノーマン・ブラウン)が1992年にリリースしたデビューアルバム「Just Between Us 」です。

ノーマン・ブラウンと言えば、ジョージ・ベンソン系列のギタリストで、スムースジャズギターの大家的存在ですが、本作リリース当時は、まだ22歳の青年。デビュー前はギターの講師をしていたようで、確かな腕前を持っているのは本作でも確認できますが、なんでしょう。この滝行をしているかのような苛烈な雰囲気は。

終始、ギターから火を噴かんばかりに、攻撃的で鬼神に迫る圧巻のプレイの連続で、ギターサウンドから漂う緊張感と、気迫は相当なもの。ギターのネックの端から端まで縦横無尽駆け巡り、オクターブ、ダブルトップ、カッティング、クロマチックを電光石火のようにキメまくっています。その異常な熱量と、自己主張の激しいギターサウンドの為か、スタジオアルバムなのにライブを聞いているような印象を受ける作品です。

楽曲のマテリアルはブラックコンテンポラリーを下敷きにした西海岸スタイルのジャズ・フュージョン。サウンドの雰囲気は「A River In The Desert」頃のポール・ジャクソンJrに似ています。(ペキペキしたギターサウンドも)

版元の「Mo Jazz(モータウンのジャズ部門)」は当時発足したてであり、ノーマン・ブラウンはレーベルの主力アーティストとしてデビューしているので、脇を固めるミュージシャンは、カーク・ウェイラム、ジェラルド・アルブライト、ネーザン・イースト、ブライアン・シンプソンなど一流揃い。

そして、スペシャルゲストとしてアース・ウィンド&ファイアのアル・マッケイとバーダイン・ホワイト、またスティービー・ワンダーや、ボーイズ・Ⅱ・メンもレコーディングに顔を出しています。本当に豪華ですよね。

ただ、正直に言って、曲の出来や客演は、ほとんど記憶に残りませんでした。ゴリゴリに攻めてくるノーマン・ブラウンのギターを除いて。ソロアルバムなので、ギターのワンマンショー的な展開は仕方ありませんが、明らかに弾きすぎです。

メロディーの繫ぎの隙間など、本来バッキングしか鳴っていないところにも、フレーズを詰めてくるので、ひたすらギターソロを聞いているような感覚になります。これがアルバム丸一枚続くので、スムースジャズリスナーの中でも聞く人を選ぶ作品でしょう。

ただし、スリリングで気骨のあるノーマンのギターはカッコいいの一言。アルバムジャケットを2nd「After the Storm」と差し替え、タイトルを「嵐の爆撃」にした方が適切なのじゃないかと思わせる、気迫に満ちた作品です。

評価:★★★★☆

★今回ご紹介したアルバムは、アマゾンミュージックアンリミテッドに加入すると、追加料金が掛ることなくフルで聴くことが出来ます!(月額利用料は別途発生します)本作に収録されている楽曲以外にも約7,500万曲が聴き放題となるアマゾンミュージックアンリミテッド。未加入の方はご検討ください。※月額利用料及び聞き放題対象楽曲は変更される可能性があります。月額利用料等は利用者の費用負担となります。

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