ブリジアン・スムースジャズの名盤 Torcuato Mariano Lift Me Up

Smooth Jazz / Fusion
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世界各国のご当地音楽の総称「ワールドミュージック」。そのなかでも特に日本人に人気なのが、ボサノバを代表とするブラジル音楽です。

アントニオ・カルロス・ジョビンの「イパネマの娘」や「おいしい水」は多くの日本のカフェ等で耳にしますし、最近では洋楽・邦楽問わず有名曲のボサノバ風にアレンジしたCDもたくさんリリースされており、ショップに行けばすぐに手に入れることができますよね。

ボサノバという音楽がもつ独特の浮遊感や空気感、サウンドの間の取り方が日本人の感性にマッチするのでしょう。日本から約2万kmはなれた文化も風習も異なる国の音楽が、これほど日本人を魅了するとは不思議なものであり、音楽の奥深さを感じさせられます。

さて、本日はそんなブラジル音楽(ボサノバ)を基調にしたブリジアン・スムースジャズの名盤をご紹介いたします。

本日ご紹介するのはスムースジャズギタリストTorcuato Marianoの「Lift Me Up」2006年リリースの作品です。

About This Musican

博士
トルクアート・マリアーノはアルゼンチンの首都ブエノスアイレス出身のギタリストじゃ。10代の頃にブラジルに移住した彼は、ボサノバやサンバのといった現地の音楽のみならずサンタナ、スティービー・ワンダーといったアーティストを聞きあさる貪欲な音楽少年じゃった。

博士
その後ギタリストとしての道を歩み始めたトルクアートは、セルジオ・メンデスやイヴァン・リンスといったブラジル音楽界の大物のツアーに参加。90年代初頭からはソロアーティストに転身し1994年にアルバム「Paradise Station」でデビュー。2009年までに5枚のアルバムをリリースしておるが、ここのところはトンと音沙汰がないの。そろそろ新作を出してほしいものじゃ。

Impression

博士ありがとうごさいました。日本ではあまり知られていないアーティストだと思いますが、ブラジル系アーティストとしてなかなかの経歴の持ち主なのですね。

でも、この作品はブラジルの音楽を全面に打ち出した様な作品ではありません。サンバやボサノバのリズムを擁した楽曲が延々と続くわけでも無く、初見ではなんとなくポール・ジャクソン・JRに似ているかなと感じました。とくにストラトキャスターによるクリーントーンの音色、オクターブ奏法のキレの良さはポール・ジャクソン・JRを彷彿とさせます。

ただ、それなら西海岸系のスムースジャズなのかと言われれば、そうでは無く・・・。表現するのは難しいのですが、西海岸系のそれに比べ、アナログ的であり、オーガニックであり、人の温もりと穏やかな日差しを感じる作風で、聞いたときのイメージはボサノバに非常に近いものがあります。サウンドの空気感が似ているのですね。ブラジル音楽のエッセンスをスムースジャズというジャンルの中でリビルドした作品といった感じです。

My Favorite Songs

アルバムタイトル曲のM1はミドルテンポのラジオ・オリエンティド・チューン。スムースジャズ系ラジオステーションでよく耳にしました。メモラブルでキャッチ―なメロディーラインが印象的。ストラトキャスターのクリーントーンによるオクターブ奏法が心地よい。

M3はスピーディーなボサノバタッチの楽曲。クロマチックを多用した複雑なメロディーラインながら、とってもメボラブル。ギターソロはパット・メセニーを彷彿させます。

M7はミドルテンポのバラード系楽曲。アコ―ステックギターのグルーブしたメロディーが心地よい。ピーター・ホワイトが好きな方は是非聞いてみて。

M8は解りやすいメロディーのラジオ向けの楽曲。実際、USENのライトフュージョン・ステーションでよく耳にしますね。

どこかコスモポリタンな雰囲気漂う本作。休日の昼下がりのBGMに、はたまたドライブのお供にいかがでしょうか?きっと素晴らしいシーンを演出してくれるはずです。オススメ!

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