本日は、スムースジャズサックス奏者Steve Cole(スティーブ・コール)が2000年にリリースした2ndアルバム「Between us」を紹介します。
スティーブ・コールはアメリカイリノイ州シカゴ出身のサックス奏者で、1998年のソロデビュー以来、2022年現在までに計11枚のリーダー作を発表していています。ソロ活動の傍らジェフ・カシワ、キム・ウォーターズと共にサックスグループ「The Sax Pack」を結成するなど、スムースジャズシーンの中でも人気のある奏者の一人です。
また、彼はスムースジャズ界きってのインテリとしても有名。ノースウェスタン大学ではクラシック・サックスを、シカゴ大学では経済学を専攻し、MBAを取得しています。
さて、そんなインテリサックス奏者スティーブ・コールですが、1998年にデビュー作「Stay Awhile」をリリースするやいなやオアシス・スムースジャズ・アワードの新人賞を獲得。彗星のごとくスムースジャズシーンに登場しました。
もちろん、華々しいデビューの裏には、同じイリノイ出身のピアニストBrian Culbertsonの全面バックアップがあったのですが、クラシックで鍛えた腕前と知性に裏付けられた作曲スキルで、他の新人奏者より頭ひとつ抜きんでていたのは事実。
本作「Between us」でも、その才能を余すことなく発揮しています。ブロデューサーは前作同様ブライアン・カルバートソン。カルバートソンはブロデュース以外にも、キーボード、ドラム・プログラミング、作曲(スティーブとの共作)を担当しています。ちなみに、3曲目「Take Me Home To You」はカルバートソンの楽曲のリテイクで、オリジナルは「モダンライフ」で聴くことができます。
その他、ポール・ジャクソンJr、アレックス・アル、リッキー・ピーターソン、レニー・カストロ等がレコーディングに参加しています。スムースジャズでお馴染みのメンツですね。
サウンドは、R&Bをファンクでコーティングしたようなスムースジャズ。都会的でロマンチックに響くあれですね。ただ、カルバートソン自身の作品と比べると、ライトタッチに纏まっているのが印象的。R&B系のスムースジャズは下手するとイヤラシく聞こえることもありますが、本作からはお上品なエレガンスを感じます。
そんなお上品さの根源こそが、スティーブのサックスの音色。作中では、ソプラノ、アルト、テナーの三種を吹き分けていて、いずれも線の太いマイルドなトーンが印象的。聞きやすい音色と、抜群の安定感は、さすがクラシック畑出身といったところでしょうか。
メロディーは、悪く言えば「大味」気味。決して繊細なタイプではありません。音程幅の大きい大胆でドラマチックなラインが多いです。その動的なメロディーをサックスで情感たっぷりに歌い上げているので扇情的に響くのでしょう。聞いていると、なんとも心地よい高揚感を感じます。
全10曲中、歌ものは7曲目「Together Again」のみ。カルバートソンから楽曲提供された3曲目「Take Me Home To You」と、ガールズグループTLCのカバー9曲目「Waterfalls」を除き、スティーブの作曲もしくは共作です。中には民謡みたいな楽曲もありますが、概ねスムーズジャズらしい楽曲が並んでいます。
特に1曲目「Got It Goin’ On」と2曲目「From the Start」はスムーズジャズ·ステーションでも人気のナンバー。スムースジャズシーンを代表する名曲です。アルバム自体もビルボード·コンテンポラリージャズ·チャートで第8位にランクインした人気作。これからスムースジャズを聴く方にとって、よい入門書となるはずです。本作を聞けばスムースジャズというジャンルの音楽の雰囲気を掴めるでしょう。
評価:★★★★☆
★今回ご紹介したアルバムは、アマゾンミュージックアンリミテッドに加入すると、追加料金が掛ることなくフルで聴くことが出来ます!(月額利用料は別途発生します)本作に収録されている楽曲以外にも約7,500万曲が聴き放題となるアマゾンミュージックアンリミテッド。未加入の方はご検討ください。※月額利用料及び聞き放題対象楽曲は変更される可能性があります。月額利用料等は利用者の費用負担となります。
コメント