メリーランド州出身のスムースジャズピアニストGregg Karukasが1998年にリリースした7thソロアルバム「Blue Touch」
ジャケットが音楽性を表しています。ビルの建ち並ぶ都会の夕暮れ、ピアノ、シルクハットと落葉。ジェントルで都会的なピアノによるスムースジャズ。シルクハットは、グレッグのトレードマークでもあります。なぜ落葉が描かれているかは不明ですが、クレジットに「本作は1997年の春と秋にレコーディングされた」と書かれているので、そのせいかもしれません。アルバムを聞いてみると確かに、夏よりも秋・冬に似合う作品かと思います。
■Blue Touchはこんな人におすすめ
✓ ロマンチックなピアノサウンドが好き
✓ お洒落なインストゥルメンタルを探している
■Blue Touchの収録曲
1.Blue Touch |
グレッグ・カルーカスは1987年のソロデビュー以前からも、奏者として多くのアーティストのレコーデングに参加しており、当ブログでもお馴染みのThe Rippingtonsの初期メンバーでもあります。(デビューアルバム「Moonlighting」一枚限りの参加でしたが)
また、プロデューサー・コンポーザー・アレンジャーとしても活躍していて、2013年にプロデュース及び共作した、ピアニストOmar Akramのアルバム「Echoes Of Love」は、グラミー賞ベスト・ニューエイジ・アルバムを受賞しています。
さて、そんな多方面に活躍するグレッグなので、本作も作曲・編曲・ミックス・プロデュースのほぼ全てを自身で行っています。参加ミュージシャンは、ボニー・ジェイムス、ブランドン・フィールズ、ピーター・ホワイト、エリック・マリエンサルなど、スムースジャズでお馴染みのメンツ。アルバムで唯一の歌物7曲目「Road Back To Love」では、盟友ロン・ボーステッドがハートフルな歌声を披露しています。
アルバムの音楽性は、メローでシルクのように滑らかな極上のスムースサウンド。爽やかで軽いタッチのファンキーさを織り交ぜているあたり、小洒落た大人っぽさを演出しています。
サウンド自体は案外シンプルで、ピアノソロの楽曲をベースに肉付けしていったような印象ですね。無駄な音色を避けることで、フェンダー・ローズやピアノの音色を美しく響かせるよう綺麗に纏められています。とはいえ、聴かせ処では、弦楽器や管楽器とユニゾンして扇情的に盛り上げるあたり、サウンドのツボを押さえた優等生的な感じがします。
メロディーは、歌物の楽曲と比べると複雑ですが、美しく聞きやすいものばかり。所々で、和音のトップノートでメロディーラインが構成されていて、旋律とハーモニーが連動しドラマチックな響きが楽しめます。
収録曲の中には、ブルージーなものやトロピカルな雰囲気のナンバーもあり、飽きさせない作りになっている反面、そういった楽曲でも、繊細さとエレガンスのフィルターを通っていてアルバムとしての統一感があります。作品を纏め上げる手腕もかなりのものですね。
楽曲・演奏・構成のどれを採っても高品質の作品。夜を彩るスムースジャズの傑作です。
評価:★★★★★
コメント