インディアナ州ラファイエット出身のスムースジャズギタリストKen Navarro(ケン・ナヴァロ)。1990年のソロデビュー以来、2022年現在までに計26枚の作品をリリースしている多作なアーティストです。
本日採り上げる「Smooth Sensation」(1997年) は、彼の代表作の1つであり、某スムースジャズチャートで12週間連続TOP10入りした人気作。
中でも、アルバムタイトル曲「Smooth Sensation」と、シャーデの大ヒット曲のカバー「Kiss Of Life」は、現在でもスムースジャズステーションでオンエアーされる名曲で、スムースジャスというジャンルを代表するナンバーと言っても過言ではありません。
Smooth Sensationの収録曲
1. Time And Love |
簡素なサウンドで、少し地味な感じも?
さて、そんな名曲を擁した本作ですが、アルバム全体を聞くと、けっこう地味な印象を受ける作品でした。まず、本作はケンのギターに主軸を置いたギターインスト作品であり、ほぼ全ての主旋律がナイロン弦のギターによって演奏されています。そして、カバー曲を除き全曲、ケンが作曲・編曲していて、ミックスとプロデュースも自身が行っています。
なので、雰囲気の似ている楽曲が何度も顔を出します。アルバムを聞いていると「あれ?この曲、さっきも聞いたような・・・」と思う瞬間が数回ありました。楽曲のテンポや、アレンジ方が概ね同じなことも拍車をかけているような気がします。
そして、楽器構成もアルバム全編を通して変わりません。サックス、キーボード、ベース、ドラム、ギターの5編成。 (いくつかの楽曲ではパーカッションも加わります)オーソドックスな構成ですね。
しかし、驚くべき点は、オープニングからラストまで演奏メンバーが固定されていること。サックスのエリック・マリエンサル、キーボードのジェイ・ロウ、ベースのゲイリー・グレインジャー、ドラムのグレッグ・グレインジャー。とギターのケン。
スムースジャズのソロイストの作品では、多くのゲストミュージシャンを迎えて制作されるのが一般的なので、これは珍しいです。別に、大勢のゲストを呼べなかったわけでは無いと思うのですよね。リリース当時でもそれなりの実績と知名度があったはずですから。あえて、呼ばなかったのでしょう。
さて、この5名がケン所有のスタジオ(ポジティブミュージック・スタジオ)に集結し、出来上がったサウンドは、かなりシンプルなもの。鳴っている音色が少ないのがわかると思います。個人的には、あっさりしすぎている様に感じました。
昼下がりのBGMにぴったり
このように、ケンがイニシアティブをとりつつ少人数で制作したのが、この作品の地味さの原因だと思います。ただ、本作のように綺麗な楽曲が平面的に流れてくる作品は、リラックスしながらBGMのように聞くにはピッタリ。例えば、休日の昼下がりに部屋でまったりコーヒーを飲みながら・・・なんて素敵なのではないでしょうか。
評価:★★★☆☆
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