L.Aフュージョンの不朽の名作。色褪せることのないヴィヴィドで宝石のようなサウンド。本日ご紹介するアルバムは、スムース・ジャズシーンのドン、ラス・フリーマン率いるThe Rippingtonsが1992年にリリースした「Weekend In Monaco」です。
そもそもL.Aフュージョンとはなにか?と言えば、1980年代から90年代にかけ主にロサンゼルスを拠点としたミュージシャンを中心につくられた、聴きやすさに徹したインストゥルメンタルソングの総称。
ノーマルフュージョンはジャズから派生した音楽なので、難解で聴くものを選ぶような雰囲気があるのに対して、L.Aフュージョンはポップソングのような癖の無さと明るい音色、軽やかなリズムが特徴的。まるで西海岸にいるような雰囲気を手軽に味わえるL.Aフュージョンは日本人の琴線にビンビン触れたのでありました。
そんなL.Aフュージョンの不朽の名作と誉れ高いのが本作「Weekend In Monaco」です。アルバムタイトル曲であるオープニングナンバー「Weekend In Monaco」のイントロが流れてきたら、そこはもうパ・ラ・ダ・イ・ス!
アコーステックギターの乾いた音色と、硬質なピアノサウンド。動的でココロときめくコード進行。あつ~いサックスの音色は燦燦と照りつけるカリフォルニアの陽光そのもの。非日常へと誘うアンサンブルは、まさに”カリフォルニアへの乗車券”。聴くものをひと時の音旅行へ誘ってくれます。
リッピントンズはアレンジメントに時間をかけ、フレッシュなサウンドを自然に聴かせることに重を置くバンドなので、どの作品もしっかりと作りこまれているわけですが、本作はバンドアンサンブルが非常に重視されているのがわかります。以前の作品に比べ、シンセサイザーの音色は控えめに、リズムの打ち込みは少なめに。生楽器の占める割合が多くなっていますね。これは、それまで流動的であったバンドメンバーが固定され、リッピントンズというグループがリーダーであるラス・フリーマンのプロジェクト的集まりから、バンド体制へ進化したことの現れです。
この当時のメンバーは、ラス・フリーマン(G)、ジェフ・カシワ(Sax)、マーク・ポートマン(Piano)、キム・ストーン(Bass)、スティーブ・リード(Per)、トニー・モレイアス(Drums)の6名。このメンバーが現在に至るまでベストな布陣だったでしょう。本当に息ピッタリのアンサンブルを奏でており、強力なグルーブはライブアルバム「LIVE In L.A.」でも聴くことができます。
収録曲のバリエーションは豊富で、5~7曲目はラスお得意のワールドビートを使った楽曲。ラテンミュージックへの傾倒は本作以後も続きますが、ここではL.Aフュージョンの範疇に収まる爽やかなドライブ感が印象的。このドライブ感がリッピントンズのサウンドの肝であった気がします。私のお気に入り楽曲は、1曲目「Weekend in Monaco」、3曲目「Vienna」、4曲目「Indian Summer」、8曲目「Highroller」。その他の楽曲もアメリカ西海岸の空気をそのままパッケージしたような爽やかなものばかり。リリースから約30年が経過していますが、ヴィヴィドなサウンドは色褪せることを知りません。
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