所得税の仕組み
■所得税の仕組み
【総合課税】=原則
様々な所得の金額を合算して、その金額に応じた税率(超過累進税率)を掛けて計算する課税方式
【分離課税】=例外
他の所得と合算しないで分離して税額を計算する課税方式。一部の所得(不動産・株式の譲渡所得、退職所得、山林所得、利子所得の一部)に対してのみ適用
【源泉分離課税】
所得を得た時点で税金が差し引かれて課税関係が終了する課税方式。確定申告が不要
【復興特別所得税】
東日本大震災の復興の財源確保のため、2037年(令和19年)12月31日まで、その年の所得税額に対し2.1%分が課税される
■所得税における課税財産の範囲
1.日本国内に住所がある者、または 1年以上の居住者
⇒国内外で得たすべての所得に対して課税される
2.非居住者
⇒国内で得た所得についてのみ課税
所得税の計算の流れ
Step1:所得を10種類にわけ、それぞれの所得金額を計算

Step2:各所得金額を合算して、課税標準を計算
※損益通算、損失の繰り越し控除を行う
Step3:課税標準から所得控除(14種類)を差し引いて課税所得金額を計算

Step4:課税所得金額に税率を掛けて所得税額を計算
Step5:所得税額から税額控除を差し引いて申告税額を計算
※税額控除:住宅ローン控除、配当控除など
給与所得と退職所得
■給与所得
給与所得 = 給与収入金額ー給与所得控除額
※給与所得控除額は給与額により異なるが最低55万円は控除される。給与等の収入金額が850万円を超える場合、給与所得控除額は上限である195万円が適用される。
※通勤手当は1ヶ月10万円まで非課税
■退職所得
【退職所得】・・・退職手当など退職により受ける給与
退職所得の金額 = (収入金額ー退職所得控除額)×1/2
◆退職所得控除額
20年以下の場合:40万円×勤続年数(最低80万円)
20年超の場合:800万円+70万円×(勤続年数ー20年)
20年超の場合:800万円+70万円×(勤続年数ー20年)
事業所得
事業所得=事業から生じる収入ー必要経費
■事業所得の経費
【必要経費】
従業員の給与、宣伝広告費、水道光熱費など
※親族に支払った給与は必要経費に含まれない
【減価償却費】
高額の機会等の購入代金を、購入した年にいっぺんに経費として計上せず、分割して1年づつ計上すること。
※建物・建物附属設備・構築物の減価償却は定額法のみ
※土地や骨とう品などの資産は、減価償却費に該当しない
不動産所得
不動産所得=土地や建物などの貸付による収入金額ー必要経費
※保証金・敷金のうち返還を要しない部分の金額も収入として含まれる
※借入金の元本返済額は必要経費に含まれない。固定資産税、借入金の利子は含まれる
利子所得と配当所得
■利子所得
【預貯金の利子所得】:源泉徴収
利子支払いの際に20.315%が差し引かれる(所得税:15.315%+住民税:5%)
【特定公社債の利子・公募公社債投資信託の収益分配金】
源泉徴収または申告分離課税を選択可
■配当所得
株式の配当や株式投資信託の収益分配など
税率20.315%の源泉徴収または、総合課税、申告分離課税を選択可
申告分離課税を選んだ場合⇒他の株式の配当所得と損益通算可
譲渡所得
【譲渡所得】:資産の譲渡(売却)による所得
■譲渡所得の分類と求め方
◆【不動産の譲渡】
所有期間5年以内⇒分離短期課税
所有期間5年超⇒分離長期課税
総収入金額ー(取得費+譲渡費用)
◆【株式等の譲渡】
所有期間の区分なし⇒分離課税
総収入金額ー(取得費+譲渡費用+負債の利子)
◆【不動産以外の譲渡】
所有期間5年以内⇒総合短期課税
所有期間5年超⇒総合長期課税
総収入金額ー(取得費+譲渡費用)ー特別控除(最高50万円)
※総合長期譲渡所得は、所得金額の1/2だけを他の所得と合算する
一時所得・雑所得
■一時所得
【一時所得】
懸賞の当選金、生命保険の満期金や解約返戻金、死亡保険金(契約者=受取人の場合)など
一時所得の金額=総収入額ー収入を得るために支出した金額ー特別控除(50万円)
確定申告の際に総所得に入れるのは、一時所得の金額をさらに1/2にした金額でよい
■雑所得
【雑所得】
公的年金、生命保険契約に基づく年金、退職金を年金方式でもらう場合など、複数年に渡って受け取る所得
公的年金等:公的年金等の収入金額ー公的年金控除額
公的年金等以外:公的年金等以外の収入金額ー必要経費
所得税における損益通算
【損益通算】
ある種類の所得で生じたマイナス金額を、別の所得で生じたプラス金額と通算すること。
■損益通算できる所得
不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得(総合)
※不動産所得の損失のうち、土地を取得するために要した借入金の利子は対象外
※生活に必要のない資産(別荘・ゴルフ会員権)の売却による損失は対象外
※譲渡所得のうち不動産譲渡・株式譲渡などの分離課税は対象外
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