カラーコーディネーター2級要点まとめ【Chapter6 生産者から見る色彩1】

 

染料の種類と特徴

■染料とは
主に糸や布、紙などを着色するために用いられる粉末状の着色剤。水によく溶解し、布などの繊維と分子レベルで結合することで着色する。
 
■染料の歴史
【自然界からの色の採取】
人類が使用した最古の着色素材は、鉱物系の顔料
その後、動物の体液や植物の抽出液の中に、繊維を着色できるものがあることが発見され、染料による染色が始まる
 
■古代エジプト
麻布を、藍で染めたものが出土している
 
■地中海東部の古代部族
ある種の巻貝の分泌液が日光に当たると紫色に変色することを利用した染色が行われる
 
■中南米アステカやインカ帝国
サボテンに寄生する虫を養殖し、この虫から得られる赤色の体液で染色。コチニール
 
■その他
ウコン・サフラン(黄色)、紅花(紅色)、セイヨウアカネ(茜色)
 
【合成染料の開発】
■19世紀
化学の進歩に伴い、人工染料の研究が行われるようになる
 
1856年、イギリスの研究者ウィリアム・ヘンリー・パーキンが世界初の合成染料「モーヴ」を発見
 
■20世紀半ば
人口繊維がつくられるようになり、合成染料の改良が進められ、高品質、低価格、安定した供給を実現する
 
■現在
天然染料による染色は、ごく一部の伝統的な製品や工芸、手芸などの分野で行われるのみとなっている
 
■染料の種類と分類
自然界の動植物から色素を抽出した「天然染料」と、石油などから人工的につくられる「合成染料」に分類される
 
天然染料はさらに「植物染料」と「動物染料」に分けられ、合成染料は染色方法や化学構造の特徴などに基づく「部属」という分類にわけられる
 
■天然染料
【天然染料の種類と特徴】
はっきりとした鮮やかな色に染まるものは少ない。染色堅ろう度は概して低く、特に光によって色あせしやすいものが多い
 
★植物染料
藍、茜、蘇芳、刈安、紅花、ウコンなど
 
★動物染料
コチニール、ラックダイ、貝紫など
 
【天然染料による染色】
〇 絹、毛  △ 麻、綿、合成染料
その為、たいていの場合、媒染という工程を必要とする
 
【媒染染色と媒染材】
染色前や後に金属部分を含んだ液=媒染材(灰汁、石灰、クロム、銅をはじめ多数)に繊維を浸す処理。媒染材に繊維と染料の仲立ちをさせて、発色、染着させる方法を媒染染色と呼ぶ。
 
■合成染料
合成染料:石油などを材料として化学的に合成された染料。天然染料に比べ色相の幅が広く、色の再現性に優れている
 
【合成染料の種類と特徴】
■直接染料
綿、麻、レーヨンなどのセルロース系繊維を直接染色できる染料。染色堅ろう度(特に洗濯堅ろう度)が低い
 
■酸性染料
絹、羊毛などの動物繊維皮革ナイロンの染色に用いられる染料
 
■塩基性染料
パルプや皮革の染料に用いられる。染色堅ろう度(特に耐光堅ろう度)が低い。アクリルを染色するために開発された耐光堅ろう度の高いタイプの塩基性染料をカチオン染料と呼ぶ
 
■反応染料
主に綿などのセルロース系繊維の染色に用いられ、染色堅ろう度も高い
 
■分散染料
アセテートやポリエステル、その他の合成繊維に用いられる
 
■酸性媒染染料
酸性染料と媒染染料の双方の性質をもち、酸性染料と同様の染色作業を行ったあと、媒染を行う染料
 
■建染染料
薬剤をつかい還元し(建てる)、アルカリ水溶液に溶かしてから、液中に浸し染める。染着後は空気などに触れさせ、参加させることで発色。主に綿に用いられる。摩擦に弱い
 
■硫化染料
セルロース系繊維の、黒や紺などの濃色染料に使用される。需要は減少している
 
■ナフトール染料
セルロース系繊維の染色に用いられ、摩擦以外の堅ろう度が高く、安価で色調は鮮明。発がん性物質に変化する可能性が指摘されており、使用は減少している
 
【合成染料の種類と適用繊維】
 
■染色の方法と種類
世界各地で古くから様々な技法を用いた染色が行われている
 
正倉院には「ろうけち(ロウケツ染め)」、「きょうけち(板締め染色)」、「こうけち(絞り染め)」と呼ばれる技法で色柄を染めた布地が残されている
 
【先染めと後染め】
■先染め
原毛、スライパーやトップ、糸などの段階で染色
例:交織によるチェック柄
 
■後染め
織物やニットなどの布地にしてから染色
 
【染色の方法】
■浸染
溶液に繊維を浸すことによって染める方法。無地染めなど単一で均一に染めるために用いられる
 
■捺染(なっせん)
捺染用の型番と色糊を用いて部分的に着色。いわゆるプリント
 
★捺染の種類
直接捺染(オーソドックスな技法)、防染(小紋やロウケツ染め)、抜染(あらかじめ染色し、抜染剤を含む糊を印捺し脱色)
 
★捺染の方法
1.ローラー捺染:円柱状型版(凹版)で布に圧着させながら型を回転させて柄を染める
 
2.スクリーン捺染:柄部分に細かい孔があけられた型版を使いスキージ(ヘラ)で捺染のりをしごくことによって柄を染める
 
3.転写捺染:染料などで図柄が印刷された転写紙と布を合わせ圧着加熱し転写。印刷と同じ原理の為、多色の複雑な図柄表現が可能。熱昇華転写(アイロンプリント)、熱溶融転写
 
4.布用インクジェットプリンタ
コンピューターで制作したデジタル画像を直接布に染色

顔料の種類と特徴

■顔料とその性質
水や油に溶けない性質から、絵画、装飾、印刷などの色材として用いられる。色材として用いる際には、ビヒクルと呼ばれる展色剤の中に均一微細に分散させる。
※ビヒクル⇒油、にかわ、水、ワニス、合成樹脂など
 
【色と化学構造】
顔料の色は、顔料分子の化学構造において、元素同士がどのような結合を行っているかによってことなる
 
■有機顔料
炭素と水素を軸に、酸素、窒素あるいは金属元素などで構成
発色に強くかかわる結合の形=発色団(アゾ基、ニトロ基、カルボニル基など)
 
■無機顔料
金属元素と酸素や硫黄との化合物が多い
 
【色と粒子】
1.有機顔料は細微な結晶体として析出され、それらが集合し一次粒子を形成
2.濾過工程、乾燥工程で、互いに引き付けあって凝集を起こす
3.粉砕され乾燥顔料として出荷される
4.用途別にワニス(展色剤)と混合され、分散機械で凝固を解きながら分散される
 
【顔料粒子の濡れと色】
顔料は、展色剤に対する濡れの親和性(濡和性)に優れていることが重要。
 
【顔料の退色と変色】
退色:初期の色と比べ無色の方向に淡くなっていくこと
 
変色:初期の色に比べ黄色や黒の方向に変わっていくこと
 
耐候性(耐光性)不良:有機顔料において、紫外線によって化学構造が壊れ、発色団が働かなくなること
 
耐熱性不良:有機顔料が、熱によって化学構造が壊れ、発色団が働かなくなること
 
■有機顔料
炭素を中心に、水素、酸素、窒素などを主成分とする有機化合物からなる顔料。現在では石油を出発原料として化学合成により製造されている。
 
【アゾ系顔料】
溶性アゾレーキ顔料:印刷インキ用赤色顔料
不溶性アゾ顔料:印刷インキ用黄色顔料
縮合アゾ顔料:黄色と赤色の高級顔料
 
【フタロシアニン系顔料】
銅フタロシアニン顔料:青色と緑色の顔料
 
【縮合多環系顔料】
堅ろう性を重視する自動車用塗料などに用いられる高級顔料
 
【染料レーキ系顔料】
染料を炭酸カルシュウムのような無色の体質顔料に染めつけて顔料化したもの
 
【カーボン顔料】
カーボンブラックと呼ばれる黒色顔料。自動車のタイヤ、ピアノの塗装、印刷用インキ用顔料などに使われ、顔料の世界需要の10%を占めている
 
■無機顔料
金属元素と、酸素・硫黄・セレンなどの非金属元素からなる化合物を粉末化したもの。多くの無機顔料は、耐光性、耐熱性、耐溶液性、隠蔽力に優れ、古い歴史を持っている。
 
【白色顔料・体質顔料】
白色顔料:酸化チタン(世界の顔料市場の65%を占める)、酸化亜鉛(化粧品・歯磨き粉)
体質顔料:展色剤と練り合わせると無色透明になる白色顔料
 
【赤色顔料】
赤色酸化鉄(ベンガラ):極めて堅ろうで安全な赤色の顔料
カドミウムレッド:絵の具などに使われる
:古墳時代から使われている硫化水銀を主成分とする赤色顔料、天然のものを辰砂、人工的なものを銀朱という
 
【黄色顔料】
黄土:有史以前から使われている黄色顔料
チタンイエロー:淡色の黄色顔料
クロムイエロー(黄鉛):鮮明で経済的な黄色顔料。鉛を含むことから使われなくなってきている
カドミウムイエロー:カドミウム中毒の原因となる元素であるため用途は限定的
 
【緑色顔料】
酸化クロムグリーン、ビリジアンまたはギネグリーン(絵の具に使われる)、緑青(孔雀石を砕いたもの)
 
【青色顔料】
群青(ウルトラマリンブルー):ラピスラズリを工業的に合成する目的でつくられた顔料
紺青(プルシャンブルー、ミロリブルー)、コバルトブルー(室外用途に適している)、藍銅鉱(アズライト)
 
【紫色顔料】
ミネラルバイオレット
 
■特殊顔料
【光輝材顔料】
金属粉顔料:塗装やプラスチックの着色に用いられる。リーフィング効果
パール顔料:雲母に二酸化チタンをコーティングしたもの。光の干渉を起こさせる干渉マイカへ進化した
 
【示温顔料】
温度により色が変化する化合物をつかう
 
【窯業用顔料】
陶磁器の釉薬に混ぜて絵付けに使われる、高温で発色する下絵用と、比較的低温で発色する上絵用がある
 
■顔料の用途 1、絵の具
【フレスコ画】
生乾きのモルタルの上に、水で溶いた顔料を使って一気に描きあげ、壁とともに画面を乾燥する技法。ミケランジェロ「天地創造」
 
【テンペラ画】
顔料を卵で練って絵の具をつくり、板や装飾写本に描いた画法。15世紀に油絵具が発明されるまで西洋絵画の代表的な手法であった。フラ・アンジェリコ「受胎告知」
 
【油絵】
顔料にリンシードオイル、ポピー油などの乾性油を展色剤として用い、ペースト状にした画材
 
【水彩絵の具・ポスターカラー・合成樹脂絵の具】
水彩絵の具顔料をアラビアゴム、蜜、グリセリンなどで練ってつくった水分散性の絵の具
合成樹脂絵の具:水性アクリル樹脂を展色剤に使用したもの。デザイン用、プロ用の絵の具
 
【クレヨン・パステル】
クレヨン:素描用画材の総称、日本ではロウを顔料に混ぜたワックスクレヨンのことを一般的にクレヨンと呼ぶ
パステル:粉末顔料と白粘土を微量のトラガカント・ゴムなどの粘着剤で固めた棒状の描画用素材
 
【岩絵の具・日本画絵の具】
天然岩絵の具:日本画用画材、岩緑青、岩群青、辰砂、瑠璃(ラピラズリ)、胡粉など
 
■顔料の用途 2、印刷インキ
【印刷術の誕生】
紙の発明:中国後漢の蔡倫
印刷の始まり:1453年ドイツのグーテンベルグが鉛活字の凸版印刷で「42行聖書」を発行
 
【印刷方法】
凸版印刷:活版印刷、フレキソ印刷
凹版印刷:グラビア印刷、紙幣の印刷
平版印刷:オフセット印刷
孔版印刷:シルスクリーン印刷
その他、電子印刷やインクジェットプリントによる印刷
 
【プロセスインキ】
シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色からなるインキセット
刷り重ねると減法混色、白い紙の上では細微なドットが分散している状態で加法混色(併置混色)
 
プロセスインキではクリアで鮮やかな色表現が難しい場合には、レギュラーインキ、特色インキを併用。色合わせを依頼する場合には指定色インキ
 
【印刷インキの組成と性能】
インキの組成:顔料、展色剤、溶剤を主成分としたペースト状
展色剤:樹脂、植物油、鉱物油、溶剤、ワックス、可塑剤、乾燥材などの組み合わせ
溶剤:石油系溶剤、水。UV硬化型インキ(紫外線で硬化させる)は無溶剤
 
■顔料の用途 3、塗料
塗料:物の表面の保護や美観・加飾のために表面を覆うことを目的に用いられている色材
 
溶剤型塗料:溶液にシンナーを利用した塗装
水性型塗料:溶液に水を使用した塗装
無溶剤型塗料:粉体塗料、エポキシ樹脂塗料、UV硬化型塗料など
 
■顔料の用途 4、プラスチック着色剤
プラスチック着色剤:顔料を合成樹脂の内部に分散させて、均一に着色するための色材。熱可塑性樹脂熱硬化性樹脂がある。※需要は熱可塑性樹脂が約9割と圧倒的に多い
 
カラーマスターバッチ
ポリエチレンやポリプロピレンなど熱可塑性樹脂用の着色剤
 
■ドライカラーと顆粒状着色剤
ドライカラー:最初に誕生したプラスチック着色剤
顆粒状着色剤:ドライカラーを顆粒状にしたもの
 
■ペーストカラー
軟質塩化ビニル樹脂などの着色
 
■顔料の歴史
【古代】
ラスコーの洞窟壁画(1万5000年前):赤土、黄土、酸化マンガンの黒、方解石の白
エジプトブルー:最古の合成無機顔料といわれるケイ酸銅カルシウム顔料
高松塚古墳:水銀朱、赤色酸化鉄、緑青、群青、胡粉、すすなど
 
【中世】
ラピスラズリ:青色顔料
彩色レーキ顔料の増加
金メッキ、金粉インキ、金箔張り
紺碧障壁画
 
【近世】
合成無機顔料の誕生
ペルシャンブルー(紺青):1704年に合成法が発見され1710年から製造開始
ネープルスイエロー:アンチモン酸鉛由来の黄色顔料
ベンガラ:赤色顔料
 
【現代】
有機顔料開発:顔料工業のグローバル化
液晶ディスプレイ:赤・緑・青の有機顔料によるカラーフィルター