絵画と色彩
■描写価値と独自価値
【描写価値】
対象の実写的再現や空間的距離、立体感の表現などのために用いられる色彩のはたらきのこと
【独自価値】
色彩そのものが生み出す力や効果のこと
●色彩の描写価値を優先 ⇒ 実写的絵画
●色彩の独自価値を優先 ⇒ 抽象絵画
絵画史と色彩
●中世
象徴としての色彩を重視=「象徴的価値」
色彩の独自価値が主導的役割を果たす(赤・赤紫)
例:フランス・シャルトル大聖堂内陣周廊部のステンドグラス
●ルネサンス期
中世の象徴性 ⇒ リアリズム・自然主義
色彩の描写価値が主導的役割を果たす。固有色の再現
◆カラーオーダシステムへの関心の深まり
アベルティーの「絵画論」:赤・青・緑・褐色の四原色
◆色彩研究による調和論の基礎
ニュートン『光学』・ゲーテ『色彩論』・シュヴルール『色の同時対比の法則』
タナーやドラクロアといった19世紀の画家たちに影響をあたえる。
●近代絵画の独自価値
【印象主義】
明暗や影を画面から排除。固有色を否定し「現象色」に置き換える
⇒色彩の独自価値を重視
【点描】
絵の具をパレット上で混色せず、画面に併置して色を再現 例:スーラ「アニエールの水浴」、シャニック「サン=トロペの港」
表面色=物体の表面だと感じられるかたい色の見え方
面色=空間的な色の見え方
●現代
色彩の独自価値を重視する動きがみられる。
商品に見る色彩
■1960年代初頭
シャーベットトーンの流行:日本流行色協会
■1960年中盤~後半
ピーコック革命:メンズファッション界にカラーシャツが登場
ポップアートと原色使い:サイケデリックカラー、ヒッピールック、イエローの流行
■1970年代
オイルショックを契機に人々の価値観が変化
アースカラーと濁色:自然をキーワードとしたブラウン系の台頭 特にベージュは自然志向の代表として定着
■1980年代
白、黒とパステルカラー:無機質でクールな色彩嗜好・シャープで軽快な未来志向
黒の流行:婦人服分野から始まり、様々な分野に拡大。シンプル・イズ・ベスト
エコロジーカラー:ベージュを中心とした自然素材が再び台頭
■1990年代~
ベージュ・チョコレートブラウンが人気。黒がベーシックカラーとして市場に定着
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